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ピラティスにおける呼吸の基本とは

ピラティスサークルでお腹を引き締めるエクササイズをするピラティスインストラクター
ピラティスでは「呼吸」がすべての動きの土台とされ、意識的に行うことで体幹の安定や集中力の向上に繋がります。中でも胸を横に広げる「胸式ラテラル呼吸」が基本。まずはその役割と仕組みを正しく理解しましょう。

ピラティスで行う「胸式ラテラル呼吸」とは

胸式呼吸とは、胸郭(肋骨のある胸まわり)を広げて行う呼吸法です。
息を吸うときにお腹ではなく胸の横や背中側が膨らむように意識し、肋骨を「横に拡げる」ことで肺に空気をたっぷり取り込む方法です。

ピラティスでは、この胸式呼吸をさらに発展させた「胸式ラテラル呼吸(ラテラル=側面)」を使います。

胸式ラテラル呼吸のポイント

・息は鼻から吸い、口から細く長く吐く
・肩や首を力ませずに、胸郭を「横と後ろ」に広げる
・お腹は膨らませず、腹筋は引き締めたまま呼吸する

ヨガとの呼吸法の違い

ヨガとピラティスでは、呼吸法に明確な違いがあります。
ヨガでは「腹式呼吸」が基本で、お腹を膨らませるように深く息を吸い込み、副交感神経を優位にして心身をリラックスさせるのが目的です。
一方、ピラティスでは「胸式ラテラル呼吸」を用い、肋骨を横に広げるように息を吸い込みながら、お腹を引き締めた状態を保ちます。
これにより動作中も体幹の安定を保ちやすく、集中力とコントロール力の向上に適しています。

ピラティス呼吸で得られる4つの効果

マットピラティスをする女性
ピラティス特有の呼吸法を正しく行うことで、身体の内側から変化が始まります。ここでは「体幹の安定」「血行促進」「集中力アップ」「ストレス軽減」といった、呼吸によって得られる4つの具体的な効果をわかりやすく紹介します。

体幹の安定と姿勢改善

胸式ラテラル呼吸では、息を吐くたびに腹横筋や骨盤底筋といったインナーマッスルが働き、背骨や骨盤を内側からしっかり支えます。
呼吸時にこれらの筋肉を繰り返し使うことで、身体の軸がブレにくくなり、自然と無理のない姿勢が保たれるようになります。

血行促進と疲労回復

深い呼吸を繰り返すことで、酸素が体内に効率よく取り込まれ、血液循環がスムーズになります。
筋肉や内臓への酸素供給が促され、老廃物の排出もスピードアップします。結果として、運動後の疲労回復が早まり、手足の冷えやむくみの改善にもつながります。全身の代謝が活性化されます。

集中力の向上

胸式ラテラル呼吸では、呼吸に意識を向けて胸郭を広げながら深く吸い込むことで、脳に酸素がしっかり届き、自律神経のうち交感神経が活性化します。
これにより脳が覚醒し、集中力が高まります。動きと連動して呼吸するピラティスでは、呼吸や身体の感覚に意識が向くことで、外の刺激に惑わされず、繊細な身体感覚とともに高い集中状態を維持できます。

ストレスの緩和と自律神経の安定

胸式ラテラル呼吸をゆっくり丁寧に行うことで、副交感神経が穏やかに働き、過剰に高ぶった交感神経のバランスが整います。
心身の緊張が緩み、ストレスの軽減や情緒の安定が促されます。呼吸に意識を向けることで、不安や焦りも自然と和らぎ、穏やかな状態へと導かれます。

正しい呼吸法を身につける「5つのコツ」

ヨガの腹式呼吸をする女性
「呼吸がうまくできない」と感じる方も、いくつかのコツを意識することで格段に変わります。
骨盤を立てて姿勢を整え、肋骨を広げるように吸い、お腹を引き締めて細く吐く。
さらに胸郭や横隔膜をほぐし、毎日の習慣にすることで、深く安定した呼吸が自然に身につきます。

1、姿勢を整える

ピラティス呼吸の第一歩は、正しい姿勢づくりです。
立っている場合は、足裏全体で床をとらえ、耳・肩・骨盤・くるぶしが一直線に並ぶように意識します。座っているときは、左右の坐骨(お尻の骨)でしっかり床をとらえ、骨盤を前後に傾けすぎず“立てる”ことで、背骨が自然なS字カーブを描くように保ちます。
胸(胸郭)が広がり、深く安定した呼吸ができるようになります。浅い呼吸を防ぐ土台として、姿勢はとても重要です。

マットピラティスをする女性

ピラティスの基本姿勢って?
正しい姿勢の習得方法も紹介 >>

2、肋骨を広げるイメージで息を吸う

息を吸うときは、お腹ではなく肋骨を左右・背中側に向かって風船のように広げるイメージで行います。肩をすくめたり胸だけを突き出さないよう注意し、胸郭全体が横に広がる感覚を大切にします。
肋骨の動きを感じるために、脇腹に手を添えるのも効果的。

3、お腹を引き締めながら息を吐く

息を吐くときは、お腹を凹ませるように、下腹部(腹横筋や骨盤底筋)を意識して、細く長く吐ききることが大切です。肋骨が閉じていく感覚、体幹の深部が内側から引き締まるのを感じましょう。しっかりと吐ききることで、呼吸が深く入りやすくなります。

4、胸郭や横隔膜をほぐしておく

呼吸の準備運動として、胸郭や横隔膜まわりの筋肉をほぐしましょう。
緊張があると、肋間や背中・肩周辺が硬くなり、呼吸が浅くなりがち。
胸を開くストレッチや、背骨を丸めたり反らせたりして上半身をやわらかくしておくことで、胸郭が広がりやすくなり、呼吸の質がぐっと高まります。

5、継続的な練習がカギ

呼吸法はすぐに習得するのは難しいかと思います。
毎日数分でも意識して続けると、少しずつ体に定着していきます。最初は難しく感じても、習慣として取り入れることで自然な呼吸へと変化します。エクササイズ前のウォーミングアップとして取り入れるのもオススメ。
コツは“丁寧に・感じる・繰り返す”です。

ピラティスの呼吸法に関するよくある疑問

Q&Aのタイル
ピラティスの呼吸法は、初心者がつまずきやすいポイントの一つ。
マットとマシンで違いはあるの?呼吸が難しい理由は?効果はいつ出るの?——そんな素朴な疑問に、わかりやすくお答えします。
まずはここから、呼吸への理解を深めていきましょう。

マットピラティスとマシンピラティスで呼吸は変わる?

マットでもマシンでも、基本の呼吸法は「胸式ラテラル呼吸」で共通です。
マシンでは、バネによって動きがサポートされるため、余計な力みが減り、呼吸に意識を向けやすくなるのが特長。
“動きに追われず、呼吸を感じる”それがマシンピラティスの強みです。

ピラティスの呼吸が難しく感じるのはなぜ?

呼吸が上手くいくと、呼吸がスーッと体にしみ込むように深くなり、「心地よい」「落ち着く」「体の芯が動いている感じがする」といった感覚が得られるようになります。
そんな感覚を得られてない場合は、姿勢の崩れや、体の硬さで胸が広がりにくいことが原因かもしれません。
日常的に浅い呼吸に慣れている人ほど、深く丁寧に息を吸ったり吐いたりするのが難しく感じられます。
焦らず練習を重ねることで、「深くて気持ちのいい呼吸」が自分のものになっていきます。

どれくらいで効果が出る?

個人差はありますが、早ければ数回のレッスンでも「呼吸が深くなった」と感じる人もいます。
意識的に呼吸を練習している場合、1〜2週間ほどで変化を実感できることが多いです。
続けることで、体幹の安定や集中力アップ、リラックス効果などがじわじわと深まり、3か月ほどで習慣として定着していきます。

日常にも取り入れたい!呼吸法で心と体を整える

外で気持ちよく伸びをするフィットネス女性二人
ピラティスの呼吸法は、エクササイズ中だけでなく、日常生活の中でも心と体を整えるための大きな支えになります。
ストレスを感じたとき、不調を感じたとき、深く丁寧な呼吸を意識するだけで、自律神経が整い、落ち着きを取り戻せるでしょう。

もしこの呼吸法きちんとに学びたい、または指導者として人に伝えたいと感じたなら、Balanced Body®の資格取得プログラムがおすすめです。「動きの原則・ムーブメントプリンシプル」クラスでは、解剖学に基づいた呼吸法が学べ、あなた自身のケアにも、キャリアアップにもつながるはずです。

この記事を書いたのは…

  • 奥畑 奈美

    Writer

    奥畑 奈美

    ピラティスコンプリヘンシブ資格/はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師師国家資格保有。
    株式会社ZENPLACE、年間300本の講座を運営するアカデミー事業部にて、ピラティスやヨガ、ボディワークに関するセミナーの企画、運営に携わり多くの講師・インストラクターと交流。 ピラティスとwell-beingの普及に尽力、専門誌にも寄稿。幅広い知識で多方面から最新の健康情報を発信し続けています。

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